経営発達支援計画
経営発達支援事業の目標 |
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1.目標 1)地位の現状及び課題 (1)現状 ①東広島市、黒瀬町の概況 東広島市は、昭和 49(1974)年に西条町、八本松町、志和町、高屋町の 4 町の合併により誕生した。広島大学の統合移転や近畿大学工学部の移転統合等、学術研究機能の集積を進めるとともに、産業
団地、産業支援機関などの産業基盤の整備や、新幹線東広島駅、山陽自動車道など高速交通網の整備により、都市としての骨格を形成してきた。平成17年(2005年2月)東広島市は黒瀬町、福富町、豊栄町、河内町安芸津町と合併し現在に至る。 当会の管轄する黒瀬町内には、医療系を中心とした総合大学 広島国際大学を始め、県立黒瀬高 ②地域内人口の推移と推計値 東広島市は、これまで少子高齢社会が進展する中でも一貫して人口増加が続いていた。現在でも増加基調は維持しているものの、その傾向は緩やかなものとなりつつある。こうした状況の中、人口は長期的には減少傾向に向かうと考えられるものの、様々な施策の展開や、近年増加傾向にある外国人市民の影響等により緩やかな増加で推移すると思われる。 当会の管轄する黒瀬町内における人口については、約21,000人(約10,000世帯)で減少が続いており、10年間で6.4%の人口減となっている。一方世帯数は増加していることから地域内の核家族化が進んでいる。また、高齢化率は2023年が33.3%になっており今後も進行すると思われる。 東広島市第5期総合計画より出典 東広島市人口統計より作成 管内商工業者数は、2022年の商工会便覧によると10年前と比較して32者減少したが、2017年との比較では25者増加している。これは、創業セミナーの開催をしたり建築業や、製造業の従業員が独立開業したことが大きな要因となっている。一方新型コロナウイルスによる外出自粛の影響により、小売業の廃業が目立つ。コロナ禍では飲食店は休業要請による支援金があったが、小売業は支援金が無かったことに合わせて原材料高、人件費高による経費の増加、後継者不足が廃業の要因となるケースが多い。 【黒瀬商工会地域の商工業者数・商工会業種別会員数】
(2)課題 管内において商工業者数、新規創業者数は近年堅調に推移している。新型コロナウイルスが5類に移行後、町内製造業が堅調であり昼食時は多くの飲食店が軒並み満席となっている。一方夜食の営業に関してはどの飲食店もコロナ前には戻っておらず苦戦している。要因としては、家や家庭内で食事をすることに慣れてしまったことが要因にあると思われる。 更に管内にある広島国際大学についてアンケートを行ったところ、飲食をするのに西条、広島方面に行く生徒が多いことが判明。今後も人口減少、少子高齢化が進むと思われるのでこの広島国際大学の学生を黒瀬町内での消費に結びつけたいが、同様のアンケートで利用頻度の高いGoogleMAP、インスタをうまく活用して販路開拓に結び付けることが必要である。一方管内の事業者は、巡回、窓口相談時の聞き取りで活用できてないケースが多く見受けられることが課題である。 また建設業、製造業においても原材料費高、人件費高騰など経費圧迫が続いているが解決に向けた対策を行うためにも生産性の向上、DXによる効率化を推進することが必要である。
(1)10年程度の期間を見据えて 黒瀬町は、東広島市の中心街西条と、呉市の中間に位置しており、その利便性よりベットタウン化して人口が増加。無料区間である東広島・呉自動車道の開通により運送などの利便性、工業団地の造成により製造業の盛んな地域である。主要道路である国道375号線沿いには飲食店が並び地域経済活性化にも繋がっている。 しかしながら、小規模事業者の取り巻く環境は、人口減少、少子高齢化による消費行動の変化、そして事業承継問題など決して明るい未来とは言えない状況である。小規模事業者が持続的に発展する為には経営理念、経営方針、経営分析に基づく内部環境、外部環境の把握などが必要不可欠である。また、創業、事業承継を強化することで、地域内の雇用促進、既存の地域内企業との相乗効果の創出、小規模事業者や、企業の増加を図る。 (2)第5次東広島市総合計画との連動性・整合性 東広島市が掲げるまちづくり大綱として「仕事づくり」「暮らしづくり」「人づくり」「活力づくり」「安心づくり」がある。特に「仕事づくり」については、『地域経済を支える中小企業等の経営改善を図り、企業誘致・留置及び投資の促進により、持続可能な産業構造の構築を図るとともに、魅力的な仕事と働く環境の創出のための企業支援に取り組む。更に、自らの意欲に応じて能力を発揮できる
社会の実現を目指し、若者世代の地元定着率の向上や大学生の市内企業への就職促進を図るとともに、女性・高齢者・障害者・外国人など、多様な人材の就業機会の拡大などに取り組む。』とし、小規模事業者や中小企業の経営基盤強化による長期的な事業継続支援に取り組んでいる。 東広島市総合計画と当会経営発達支援計画の方向性が一致することから、連動することでより高い効果を得る為に、事業評価委員として、東広島市にも就任してもらい、計画に基づく小規模事業者の経営基盤強化や販路拡大等に向けた取り組みに対し、評価・助言を頂いている。 (3)黒瀬商工会としての役割 当会は、これまで経営改善普及事業を中心に、経営発達支援事業に取り組み、商工会員だけでなく会員外事業者や地域全体の活性化に努めてきた。税務、金融、労務など基礎的経営指導をメインに巡回・窓口指導や、各種セミナーを開催し、第2期経営発達支援計画では、5年間で延べ 216件の事業計画策定・実行を支援してきた。コロナ禍にあっては、コロナ対策資金の斡旋、持続化給付金等の申請支援、各分野の専門家
による集団・個別指導を行っていたが、近年は各種補助金(小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金)の申請支援や、コロナ対策資金の返済がスタートしたが売上が戻ってない為返済の計画見直し(リスケ)の依頼が増加している。今後町内唯一の経済団体として中核的な機能・役割を果たすべく、東広島市との連携機能をより
一層強化し、小規模事業者に対する伴走的な支援、そして地域の小規模事業者だけにとどまらず、その小規模事業者を支える地域住民など、地域社会の福祉の増進に資する事業を幅広く実施することが当会としての役割である。 3)経営発達支援事業の目標 上記1)及び2)を踏まえ、「地域への裨益」や管内の支援すべき「小規模事業者」を想定して経営発達支援事業の高い効果を得る。 また、経営力再構築伴走支援モデルによって経営者との対話と傾聴を通じて事業者が抱える本質的な課題に気づくよう促し、経営者の自走化のための「内発的動機づけ」と「潜在力」の引き出しを行い、企業と地域が持続的な発展に向け蓋然性を高める。 (1)小規模事業者の自立的な経営力強化による事業継続 事業の健全化を目的として、当会の指導員が中心となり巡回や窓口相談等を通じ、事業者と共に現状の課題、将来像を把握し事業計画策定を行う。小規模事業者との対話と傾聴を通じて、経営課題を設定し方向性を可視化することで、事業者自らの力を引き出し自立的な経営力強化による事業継続を実現する。 (2)事業承継・創業支援 事業承継については国の重要課題として取組んでおり持続的発展を遂げるために巡回や窓口相談があれば専門家を招聘し各状況を網羅した円滑な支援を実施する。 創業支援においては計画時、創業期、成長期など時系列による幅広い支援により資金調達、情報提供、創業計画作成を実施する為にも創業セミナーを開催して複数の創業希望者が一定の知識習得を目指す。 以上の支援により地域経済活性化と新規雇用の創出、廃業の減少、地域内企業数の増加を図る。 (3)DXに向けた支援、販路拡大による地域経済活力の向上 地区の購買力の一端を担う広島国際大学の学生アンケート結果を鑑み、飲食・サービス業におけるSNSやGoogleビジネスプロフィールなどのDXに向けた支援は必須であると判断している。このことにより、個社の売上向上・持続的発展を期待する。また、個社の積極的な魅力発信により、地域全体の魅力向上を図る。 製造業においては、人手不足による生産効率・作業効率の低下を、勤怠管理や在庫管理などを自動化するなどして補い、事業継続を図っていく。 多忙且つ財務基盤の脆弱な小規模事業者にとって、自社の業務に合わせたシステム検討や投資は大きな負担となっており、躊躇する事業者も多いが、巡回や窓口相談・実践的な講習会開催を通じ、必要性を丁寧に説明する。 |
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経営発達支援事業の内容及び実施期間 |
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2.経営発達支援事業の実施期間、目標の達成方針 1)経営発達支援事業の実施期間(令和6年4月1日 ~ 令和11年3月31日) 2)目標の達成方針 (1)小規模事業者の自立的な経営力強化による事業継続 巡回や窓口相談等を通じ、経営分析支援を実施し事業計画策定に繋げる。小規模事業者が抱える問題は多様化しているため、状況によっては中小企業診断士等の専門家を活用し高度な経営分析を行うことで持続的な事業継続を目指す。事業計画策定に向けたセミナー、個別相談会を開催し、フォローアップを遂行し事業者との対話と傾聴を通じて経営の本質的な課題を事業者自らが認識することに重点を置き、実践的な事業計画策定を行う。将来的には自走化を目指し、多様な課題解決ツールの活用・提案を行いながら当事者意識を持ち、自らが事業計画を実施して持続的な事業展開、売上増加、従業員の賃金アップに繋げるように支援を行う。 (2)事業承継・創業支援 管内企業では事業者の高齢化も目立っており、地域活性化、雇用確保には事業承継が重要である。近年、巡回や、窓口相談でも件数が増え始めており広島県事業承継・引継ぎ支援センターと協力し各状況を網羅した円滑な支援を実施することで廃業の件数を削減する。 創業においては創業後3年以内で70%が廃業する時代と言われているが、管内においては計画時、創業期、成長期など時系列による幅広い支援を実施している結果もあり創業3年以内での廃業はほぼ無い。継続した創業支援をすることで、地域経済活性化を図る。 (3)DXに向けた支援、販路拡大による地域経済活力の向上 DXを目指す第一歩としてSNS、AI機能の有効活用のセミナーを行い事業や商品PR、業務効率化に向けた支援を行う。また、キャッシュレス化、生産性向上、電子帳簿保存法への対応等、事業者に応じた対応をそれぞれの専門家と連携し支援する。 新たな販路開拓支援と販路拡大を目指し商品の改良、開発支援を行うためにBtoBや、BtoCを実施している展示会へ出展して商品PRとアンケートを行うと共に売上拡大に向けた販路開拓を行う。 I.経営発達支援事業の内容 3.地域の経済動向調査に関すること 1)現状と課題 (1)現状 毎年12者程度抽出し巡回または、聞き取りを実施して景況調査を行っている。調査結果は、全国商工会連合会が実施する中小企業景況調査及び、地域経済分析システム「RESAS」、市場情報評価ナビ「MieNa」などの統計情報と併せ商工会の役員会及び、組織内で情報共有して個者支援施策として活用しているが、公表まで至っていない。 (2)課題 中小企業景況調査及び、取得した統計情報を個者支援に留まらず、結果を広く公表しておらず、殆どの事業者に周知してないことが課題である。 2)目標
3)事業内容 ・地域経済動向の調査 地域の消費・経済動向を把握する為に、国のビックデータ「RESAS」及び、市場評価ナビ「MieNa」を活用して分析、調査し当会HP等に掲載して周知する。 【調査方法】RESAS及び、MieNaを活用して地域動向調査を行う。 【調査項目】RESAS:人口動態、消費動向、地域産業構造など MieNa:エリアを絞った人口動向、カテゴリー別の消費支出額、購買力など 【実施回数】年間1回 4)調査結果の活用 調査した分析資料は、エビデンスに基づいた小規模事業者の事業計画策定、創業予定者の事業計画策定に活用する。事業者だけでなく、支援者もこれを理解・活用することにより、業種ごとの課題や地域のトレンドを理解し、事業者と同じ視点・問題意識をもって支援していくことを心掛ける また、収集結果は会報へ掲載に加え、黒瀬商工会HPで幅広く管内の事業者に周知する。 4.需要動向調査に関すること 1)現状と課題 (1)現状 ①Googleビジネスプロフィール(旧 Googleマイビジネス)の登録サポート Googleビジネスプロフィールの登録サポートを当会が行い、顧客の行動パターン、検索の種類、閲覧状況、使用されたキーワードなどの情報を得ている。得られる情報から事業者自らデータ分析を行い集客や認知度向上に向け適切な対応を行うことが可能。 地域性や、閲覧状況のデータ、利用者からのコメントがダイレクトに入る為商品開発、改良及び事業計画策定時にも反映させている。 第2期経営発達支援計画において令和4年度実績で、閲覧数増加事業者30者、売上増加件数20者の結果に繋がっている。 ②展示会、商談会等への出展 新商品や、改良した商品を「グルメ&ダイニングスタイルショー」などに出展して小売業、バイヤーとのBtoB商談を加速させると共に、アンケート調査を行い参画した事業者へフィードバックして改良、新商品の開発の参考に用いる。 第2期経営発達支援計画において令和4年度までは、新型コロナウイルス等の影響で出展を見合わせていたが、令和5年度「グルメ&ダイニングスタイルショー」に2者出展。 (2)課題 ①Googleビジネスプロフィールの登録サポート Googleのサービスを活用している為仕様が変わるケースが多い。また、データ分析を自社で行う事業者は少なく有効に活用できてないケースが見受けられる。 ②展示会、商談会等への出展 複数事業者が出展される為、小売業、バイヤーへのアンケートは調査項目が一定であり、事業者が新商品の開発を行うためのアンケートなのか、新商品の意見を知る為のアンケートなのか、販路開拓に向けたアンケートなのか等、それぞれのニーズと一致するようなアンケート方法が必要である。 2)目標
3)事業内容 (1)Googleビジネスプロフィール登録サポート 特に高齢者などは登録の手法が分からず、写真や、位置が異なる、知らない間に閉店になっているなどが多かった為、当会が登録に向けたサポートを実施。飲食店などは、店舗内のストリートビューを掲載することで閲覧数の増加を図り、地域性、閲覧場所を知ることで需要動向に係る調査を実施する。 (2)展示会、商談会等への出展 展示会に出展して、小売業や、バイヤー向けアンケートを実施。経営指導員による事前の打ち合わせにより調査を実施。直近では、「グルメ&ダイニングスタイルショー」のみの出展であったが、今後は広島のブランドアンテナショップ TAU、他の展示会など、様々な主旨の展示会がある為、事業者の意見を聞きながら出展を行う。 4)調査項目 (1)Googleビジネスプロフィールの登録サポート 閲覧場所、閲覧件数、検索の種類、使用されたキーワードなど (2)展示会、商談会等への出展 多くの業種(小売業、バイヤーなど)の意見取得を目指してアンケートを行う。 【アンケート内容】味、風味・香り、デザイン、ネーミング、価格など 【調査手法】来場者に試食をしてもらい、経営指導員等が聞き取りの上アンケート票へ記入する。 【アンケート対象事業者数】1出展事業者あたり50事業者 5)調査結果の活用 (1)Googleビジネスプロフィールの登録サポート ・閲覧した場所が分かる為チラシの配布場所の検討材料としても活用。また閲覧件数が少なければ写真の撮り方などの工夫が事業者にて可能。 ・使用されたキーワードを確認し、SNSのハッシュタグを有効活用して検索しやすい仕組みに改善する。 ・消費者、利用者からのコメントを多く入力して頂けることで事業者のPRだけでなく、コメントがダイレクトに入る為商品開発、改良にも活用し事業者が努力する切っ掛けとなる。 (2)展示会、商談会等への出展 ・アンケート結果を各事業者へフィードバックすることで商品のブラッシュアップ、価格の見直し等改善を行う。 (1)、(2)の共通事項として各調査結果を事業計画策定時の基礎データとして活用する。 5.経営状況の分析に関すること 1)現状と課題 (1)現状 小規模事業者は、自らの勘、経験に頼った経営を行う方が多く、持続的発展に有効な事業計画策定には躊躇するケースが多い。そこで、当会の指導員が事業者と共に経営分析や、中小企業診断士による専門的な分析結果を基に事業計画策定して知識向上を図っている。先述の「4.需要動向調査に関すること」で、実施している「Googleビジネスプロフィール登録サポート」において地域性や、閲覧状況のデータを活用し経営状況の分析ツールとしても活用している。また、利用者からのコメントがダイレクトに入る為商品開発、改良に役立ている。しかしその分析は、補助金や、融資の目的で利用されることが多い。 第2期経営発達支援計画において令和4年度は、経営分析事業者数36者の実績、経営革新申請者数2者の実績に繋がっている。 (2)課題 経営状況の分析は、財務面、非財務面と併せて行っているが、短期的な計画に留まっている。しかし小規模事業者の問題は多様化しており、より迅速に、より的確な経営を行うには、中・長期的な事業計画の策定も必要である。更に「対話と傾聴」を通じて経営の本質的課題の把握に繋げる。 2)目標
※小規模事業者の持続的発展を実現させるには経営分析実施後手厚いサポートも必要であるため、経営指導員1人あたり6者/年とする。 3)事業内容 ・経営分析の内容 【対象事業者】 販路開拓や、生産性の向上など経営に前向きな小規模事業者を巡回・窓口相談の機会を活かし対象事業者を掘り起こしていく。 【経営分析項目】 財務分析(定量分析)、非財務分析(定性分析)を行う。特に非財務分析については事業者との対話と傾聴を重視。「強み」「弱み」を促し動機付けを行い、事業計画策定に活かす。 ①財務分析(3期分の決算を基に分析)
②非財務分析(事業者との対話と傾聴を基に分析)
【分析手法】 (財務分析) ローカルベンチマーク、商工会クラウド(MA1)など (外部分析) SWOT分析、3C分析、ABC分析などの分析方法を活用 4)分析結果の活用 ・分析結果は、当該事業者にフィードバックし、状況把握を行い現在発生している課題に対し対策すべき優先順位付けを行い、目先のことだけでなく将来的な方向性を示すことで、経営指標や事業計画策定等への活用を図る。 ・商工会データベースに業種、規模別等により管理し、内部共有し、誰でも閲覧できるようにすることで支援力向上に繋げる。 6.事業計画策定支援に関すること 1)現状と課題 (1)現状 巡回・窓口での相談時や、会報誌・HP等で案件の掘り起こしを行い、専門家と連携して計画策定支援を実施した。
事業計画を策定した一部の事業者では、売上・利益の拡大や、資金繰り改善など、持続的発展に向けた一定の成果に繋がっている。先述の「4.需要動向調査に関すること」で、実施している「Googleビジネスプロフィール登録サポート」において地域性や、閲覧状況のデータやコメントを活用し事業計画策定支援のツールとしても活用している。 第2期経営発達支援計画において令和4年度において、事業計画策定事業者数20者、創業セミナー1回、創業の事業計画策定数 4者、受講後開業者数0者であった。創業セミナー受講後開業者数については、2者開業希望者がいたが、日本政策金融公庫、管内金融機関共に開業の融資が実行できず断念した。 (2)課題 小規模事業者を取り巻く経営環境は益々厳しくなる中、持続的発展を図るには、事業計画を策定し、現状の把握と目標を明確にすることが重要である。一方管内の小規模事業者における事業計画策定は、融資、各種補助金の目的としたものが多い。 2)支援に対する考え方 ①経営力再構築伴走支援モデルに沿った支援 多くの小規模事業者は経験や勘に頼った経営が多い。その経験や勘も事業継続には必要な動機づけ、潜在力であるが、本質的な課題が見えず、見えても直視しない、実行しないケースが見受けられる。事業者を支援すべく対話と傾聴による信頼関係を構築し、気づきを促す事業計画の策定、課題解決に向けた伴走型支援を行うことで自走化を目指す。 ②創業者に向けた支援 新型コロナウイルスの影響や、多様化する時代に合わせて新たな事業で創業希望者が増えている。一方創業後3年以内で70%が廃業すると言われており、始める前にリスクを知り、始めた後は目標に近づけるための支援が重要である。当会としては、持続的な事業存続を目的として創業セミナーを開催して、創業に向けた知識の習得、創業時の事業計画策定支援を実施。創業セミナーには創業者だけでなく数年経営を行った事業者の参加もあり今一度初心に戻る切っ掛けや、新事業の展開に向け受講されるケースもある。今後も創業セミナーを開催して創業計画や、新事業の展開に向けた支援を行う。 ③事業承継に向けた支援 昨今の少子高齢化や、労働者不足、事業者の高齢化による事業承継問題については地域の課題でもある。当会の脱会理由としても廃業が多く地域経済の衰退要因にも繋がっている。事業者の持つ経験や、人脈は長年積み上げてきた財産であり廃業よりも事業承継、M&Aに向け、広島県事業承継・引継ぎセンターや、日本政策金融公庫と連携して積極的に推進する。 ④地域内DX強化への取り組み 電子帳簿保存法、インボイス、給与計算、受発注システムなどDXに向けた取り組みは必要であることは分かっているが、事業者は多忙を極めており、やり方が変わることや、慣れるまで時間を要すること等導入には消極的である。その為効率化を目指したAI機能の有効活用(ChatGPT、Bard等)、企業や商品PRを目的としたSNSの活用などから始めてセミナーを行い一歩一歩DXに向けた支援を行う。 3)目標
4)事業内容 ①創業セミナーの開催 【支援対象】創業予定者又は、新規事業展開予定者 【募集方法】チラシを新聞折込。会報、HPへの掲載。 【講 師】中小企業診断士 【回 数】3日間/回 【参加者数】10者程度 【内 容】・マーケティングの基礎知識 マーケティングと販路開拓の基礎知識、マーケティング戦略の策定 ・創業計画の作り方 創業事例からアイディアを学ぶ、ビジネスプランの作成方法について ・創業計画の策定 自分のビジネスプランを作成、ビジネスプランの発表 【実施後の支援】作成したビジネスプランを活用してより具体的な事業計画策定の支援をする。 また、東広島市認定創業支援等事業の認定に向けた支援を行う。 ②DX推進セミナーの開催 【支援対象】管内小規模事業者 【募集方法】チラシを新聞折込。会報、HPへの掲載。 【講 師】ITや、SNSの専門家 【回 数】1回 【参加者数】10者程度 【内 容】・DX関連技術(クラウドサービス、AI等)の活用事例 ・クラウドを活用した顧客管理、受発注システムツールの紹介 ・SNSを活用した情報発信方法 等 5)セミナー実施後の支援について セミナーを受講した事業者に対しては、経営指導員等による相談対応・経営指導により事業計画策定、事業者のDXに向け継続した支援を行う。必要に応じて各種専門家派遣やよろず支援拠点と連携して支援する。 7.事業計画策定後の実施支援に関すること 1)現状と課題 ①現状 経営指導員を中心に四半期に1回以上を目標に訪問を行いフォローアップしている。事業計画通りに実施しているかどうかをチェックしており、計画通りに進んでいなければ必要に応じ専門家派遣や、計画の見直しを行っている。 創業者については計画策定後の支援が重要であると実感しているため、創業3年間は指導員が2ヶ月に1回以上を目標に、経営指導員がフォローアップを実施している。 第2期経営発達支援計画において令和4年度において、フォローアップ対象事業者数30者、フォローアップ件数55回、売上又は、利益増加事業者数20者であった。 ②課題 事業計画策定後はフォローアップしやすいが、時間の経過とともに訪問回数も減り、計画通りに進んでいるかの確認も難しくなっている。状況に応じ策定した事業計画書に拘らず、事業者に寄り添い新たな支援の提案(新たな販路開拓や新規事業に向けた提案)なども必要である。 2)支援に対する考え方 ①事業者にあった支援 基本的には四半期に1回以上訪問して策定した事業計画が、計画通りに進んでいるか等進捗状況を定期的に巡回訪問して確認する。一方で事業者ごとに進捗状況が異なる為、事業者にあったフォローアップの頻度とする。 ②自走化に向けた支援 経営者自身が、自走化を意識し、経営者自身が「答え」をみいだすこと、対話を通じて存在力の発揮に繋げ意識できるようにフォローアップを行う。特に創業3年間は自らの意思のみで決定しやすいため、指導員が連携し、対話と傾聴を通じて、経営者と従業員が一体となり、当事者レベルで意識を持つことで自走化に向けた支援を行う。 3)目標
※フォローアップ対象事業者については3年を目途として自走化するように支援を行う。 4)事業内容 事業計画策定事業者を対象に、策定した事業計画において行動計画、目標達成に向けた実施支援 (フォローアップ)、計画通りに実施しているか、進捗確認や成果達成状況を確認する。フォローアップの頻度については、四半期に1回以上を基本路線とするが、事業者ごとの意欲に応じフォロー回数の設定と支援を行う。また、専門的な支援が必要な場合は、中小企業診断士やよろず支援拠点、金融機関と共にフォローアップを行う。法定経営指導員を中心に、事業者と共に進捗状況を管理し必要に応じて修正、見直しを実施する。 【計画通りに進捗していない場合の対処方法】 フォローアップの中で策定した計画通りに進捗していない判断した場合は、外部専門家など客観的な意見・分析のもと事業者と共に早急に対応策を検討し、計画修正等に対応する。なお、修正対応した場合は、経営カルテシステム(CRMate)にて情報記録する。 【実施支援の管理体制】 管理職及び法定経営指導員を中心に、毎年フォローアップ体制及び遂行状況をチェックする。管理及び、フォローアップに取り組んだ内容は、経営カルテシステム(CRMate)を用いてノウハウとして蓄積し次なる支援に活用する。 8.新たな需要の開拓に寄与する事業に関すること 1)現状と課題 (1)現状 地域内企業のPR手段として商談会に出展を予定していたが、新型コロナウイルスの影響もあり、取組はほとんどできていなかった。第5類へ移行した令和5年度には、東京で実施される「グルメ&ダイニング秋2032」へ2者出展しBtoBの販路拡大に向けた支援を行っている。 また、Googleビジネスプロフィール作成支援及び、企業RP用動画の作成支援をしてYouTubeへの投稿など販路開拓に向けたDXを推進している。 第2期経営発達支援計画において令和4年度において、Googleビジネスプロフィール作成支援10者、Googleビジネスプロフィール閲覧増加件数6者、動画作成支援数4者、動画50回以上の閲覧者数1者であった。 (2)課題 ①販路開拓に向けた支援 関東、関西圏で開催される展示会での販路開拓となると、管内小規模事業者は、展示会に慣れておらず相手に上手にアプローチできない、出展しても生産性の問題で受注に至らないケースがある。それらがクリアできる企業は少なく出展企業は限られてしまう。また、関東への展示会となると想定しているマーケットが異なる為販路開拓の機会があっても躊躇されてしまう。そこで、関東と関西又は、関東と福岡など距離的な問題の解決、繁忙期、閑散期など季節的な問題の解決、事業者にあった市場規模への出展を図る目的として、年2回出展して事業者のニーズに合う展示会、場所を選定し出展に対する負荷を減らしながらも販路拡大に向けた支援を行う。 ②DXに向けた支援 DXを推進しているが、必要性を感じない、効果が分からないと言われる事業者が多い為継続して巡回、窓口等で説明を行う支援が必要である。 2)支援に関する考え方 ①販路開拓に向けた支援 展示会での販路開拓に向けたハードルとして、出展時のアプローチ不足、生産量の課題がある。その為出展時には経営指導員等が出展前の事前準備から、出展後のアフターフォローまで支援する。生産量の課題については事業計画を策定して生産量の増加に伴う設備投資の支援を必要に応じて専門家と一緒になり支援を行う。 ②DXに向けた支援 Googleビジネスプロフィール作成支援を継続しており、支援後は閲覧数及び、新規顧客が増加している事業者が多い。また、動画作成支援を行い、Youtubeにて動画配信を実施することで地域内企業として認知して頂き販路拡大に繋がった企業もある。その為継続して支援を行い容易で身近なところからDXに慣れながらも需要開拓拡大に繋げたい。また、DXに取組んでいない事業者や理解等が進んでいない事業者に対して巡回や窓口等で説明を行っていく。 3)目標
4)事業内容 ①展示会への出展(BtoB) 展示会へ出展することで販路開拓に向けた支援を行う。出展に関しては年2回を予定しており、出展当日は接客、アンケート回収だけでなく、出展準備、出展後のアフターフォローまで経営指導員が伴走型支援をすることで販路拡大に向けた成果を得る。出展に関しては下記に合う事業者を優先的に選定する。 【支援対象者】・管内の食材及び加工品を製造している事業者 ・従業員を3名以上雇用している事業者 ・展示種類が、5品以上 【募集方法】会報や、HPより募集 【出展予定の展示会】関東:グルメ&ダイニングスタイルショー 関西:フードスタイル関西
福岡:フードスタイル九州 【1回の出展事業者数】2事業者 【事業者の選定基準について】 選定基準を設け優先的に出展支援を行うことで高い効果の販路開拓支援とする。 ・昨今の原材料等の価格高騰の大きな影響を受けている事業者 ・賃金の引上げに積極的な事業者 ・持続化補助金、ものづくり補助金等の申請支援又は、事業計画策定を実施した事業者 ②Googleビジネスプロフィール作成支援 【支援対象者】管内の小規模事業者 【募集方法】会報や、HPより募集 【企業数】10者 【作成方法】ストリートビューなどの要望も考慮して、スキルを持つ専門家に依頼 ③動画作成支援数 【支援対象者】管内の小規模事業者 【募集方法】会報や、HPより募集 【企業数】4者 【作成方法】動画編集のスキルを持つ専門家に依頼 ④DXへの支援 多忙且つ財務基盤の脆弱な小規模事業者にとって、自社の業務に合わせたシステム検討や投資は大きな負担となっており、躊躇する事業者も多いが、巡回や窓口相談・実践的な講習会開催を通じ、必要性を丁寧に説明する。 Ⅱ.経営発達支援事業の円滑な実施に向けた支援力向上のための取組
9.事業評価及び見直しをするための仕組みに関すること 1)現状と課題 (1)現状 当商工会の会長、副会長、商業部・工業部より各1名、監事、東広島市産業振興課長、日本政策金融公庫呉支店長、広島県商工会連合会担当課長を構成委員とする事業評価委員会を設置。委員会の開催については当会事務局より事務局長及び経営指導員が加わって実施し経営発達支援事業の事業評価及び今後に向けての見直しを年1回開催している。更に評価結果は、理事会及び、総会にて全会員に報告している。 (2)課題 評価・見直しについては、これまでのところ特段の課題はないため、今後も同様の形式で事業を実施する。 2)事業内容 経営分析を受けた事業者の3期分の財務分析、非財務分析(調査項目は「5.経営分析に関すること」に記載)及び、セミナー参加数、Googleビジネスプロフィール登録数等を基に、各事業について効果を A~D段階で評価する。 当商工会の会長、副会長、商業部・工業部より各1名、監事、東広島市産業振興課長、日本政策金融公庫呉支店長、広島県商工会連合会担当課長、法定経営指導員を構成委員とする事業評価委員会を設置し、年1回、経営発達支援計画の実施状況と成果について、下記の方法で評価・報告を行う。 ① 評価 目標に対し実績を踏まえたA~D評価に分けて自己評価を実施。その後事業評価委員会において、内容、自己評価について評価し、D評価については次年度以降の見直しの方針を決定する。 ② 報告 事業の実績・評価・見直しの結果については、当会理事会、総会へ報告し、承認を受けると共に全会員へ周知する。更にHPにも掲載して地域内小規模事業者等が閲覧可能にする。また、D評価による次年度以降の見直しについても方針を記載し報告、HPへの掲載を行う。 適切なPDCAの実施と進捗管理により、経営発達支援計画の目的の確実な達成を図る。 10.経営指導員等の資質向上等に関すること 1)現状と課題 (1)現状 主に、広島県商工会連合会ではより実践的な研修が開催されているので、これに参加することで資質向上に努めている。さらなる職場全体の支援能力向上のため、週1回のミーティングを実施し情報共有及び参加した研修内容の説明、報告を行っている。 (2)課題 既存の課題に対する支援能力は一定の向上が見られるものの、小規模事業者を取り巻く環境の変化により、課題や問題は目まぐるしく変化している。また、経営課題(原材料の高騰、人件費の高騰、DXの推進、インボイスの導入等)も多様化しており、経営指導員側が次々とその新たな知識を身につけなければ効果的な指導ができない状況である。 2)事業内容 (1)職員の資質向上研修 広島県商工会連合会が中心となって実践的な研修が開催されているので、これに参加することでスキルアップに繋げていく。更に週1回のミーティングを実施し情報共有することで職場全体の支援能力向上を図る。
(2)データベース化 経営指導員等が経営カルテシステム(CRMate)にて支援データの入力を適時行い、支援状況を毎週月曜日に実施しているミーティングにおいて、経営指導員を中心にそれぞれの職員が現在進行中の個別案件を共有する。組織的支援に取り組むためにも、支援担当者個人の視点にとどまらないよう職員の中で支援内容と進捗状況、支援場面での課題(対話と傾聴による真の課題への気づきを促し、自走に向けたアプローチの手法等)について共有しノウハウを組織内に蓄積する。 (3)OJT制度の導入 支援経験の豊富な経営指導員と一般職員とがチームを形成し、巡回指導や窓口相談の機会を活用し、対話と傾聴による真の課題への気づきを促し、自走に向けたアプローチの手法等のOJTを積極的に実施して組織全体としての支援能力の向上を図る。 11.その他の支援機関との連携を通じた支援ノウハウ等の情報交換に関すること 1)現状と課題 (1)現状 行政機関を始め様々な支援機関が数多く支援を実施しているが、支援内容や支援方法に偏りがあるため、小規模事業者にとっては、どこに相談すればいいのかわかりにくいのが現状である。また、資金力に限界がある小規模事業者にとっては中小企業診断士等の士業に相談するのはハードルが高い。 (2)課題 小規模事業者が抱える課題が多様化・複雑化する中では支援機関同士の情報交換、連携強化は必要不可欠であり、金融機関、自治体等が行っている支援事業(創業塾、各種セミナー、金融相談等)の情報共有と支援会議を重ね協力し合うことでワンストップ支援体制を構築する必要がある。 2)事業内容 他の支援事業が実施している支援内容の情報、ノウハウの共有の為、経営指導員を参加させ支援能力向上を図る。
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